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技術と人間 2025年6月16日

未来にお金は必要か?──DeFiとゼロ知識証明が変える“価値の正体”

AIが生産を代替する未来は、信頼が通貨になる未来。 記事要約 AIやロボットが生産の担い手となる未来、私たちは「富を誰が、どう分けるのか」という本質的な問いに直面する。お金の意味が変わる時代、価値の基準は資産や肩書きではなく、信頼や貢献にシフトしていくかもしれない。DeFi(分散型金融)やゼロ知識証明といった技術は、中央の権威に依存せずに“信頼”を記録・証明する手段として注目されている。お金の前に変わるべきもの。それは、価値を生み出す「人のあり方」なのだ。 「もうすぐ、お金のために働かなくていい未来が来る」 そんな言葉を聞けば、多くの人は思わず笑うことだろう。「理想論だ」「夢物語だね」と。けれど、気づけば私たちは、その入り口に立ち始めている。 AIは文章を生み、ロボットが建設をこなし、ドローンが農業を担う。かつて誰かの“仕事”だったことが、急速に自動化されつつあ……

思想と存在 2025年6月15日

本物の共感は存在するのか?──AI時代に問い直す“心のつながり”

本当の共感は、届かないことを知りながら、 それでも手を伸ばす行為の中にある。 記事要約 感情を持たないAIが人を癒やす存在になりつつある今、「共感とは何か」「本物の共感は存在するのか」があらためて問われている。脳科学的には共感はあくまで感情の模倣に過ぎず、技術がどれほど進歩しても、相手の“感情の起点”に触れることはできない。それでも、私たちは「わかろうとする姿勢」や「誰かの想いが込められた振る舞い」に心を動かされる。共感とは、完全な理解ではなく、届かなくても寄り添おうとする“願い”のような営みなのかもしれない。 「このAI、私の気持ちをわかってくれてる気がする」 画面の向こうにいるのは、意識のないプログラムだと理解している。それでも人は、なぜか“寄り添われている”と感じてしまう。 感情を持たないはずのAIが、私たちの心の隙間を埋める存在になりつつある。落ち込んだ……

思想と存在 2025年6月12日

感情を持たないAIは、敵ではない──生命の進化と知性の未来

AIが世界を理解するとき、世界に意味を与えるのは、私たちの感情だ。 記事要約 AIが人類を支配するという恐怖は、実際には人間自身の感情や無自覚な投影から生まれる誤解にすぎない。AIは痛みも快楽も経験せず、意志や感情を持たないため、本質的に“暴走”することはない。真に危険なのは、感情を持たないAIではなく、それを設計・命令する人間側の責任放棄である。AIと人間は上下関係ではなく、役割を分担する「共鳴する存在」として共生できる。感情を持つことこそが人間の価値であり、AIに“意味”を与えるのは私たちなのだ。 AIが感情を持って人類を支配する──そんな未来像が映画やニュースで語られることがある。しかし、それが現実になる可能性は極めて低いと私は考える。なぜなら、AIは“感情の起源”から切り離された存在だからだ。 感情とは何か。それは単なる気分ではなく、進化の過程で獲得された生存……

物語と表現 2025年6月6日

AGI以後の物語 ──「欠落なき社会」とドラマの終焉

人類は長いあいだ、争いの物語を信じてきた。だが、心が静かに響きあう物語こそ、次の扉を開く鍵なのかもしれない。 記事要約 AGIが社会を最適化し、貧困や不平等が解消されると、物語の原動力だった「欠落」や「衝突」が失われ、従来のドラマが成立しにくくなる。悪や格差、恋愛の障害も描きにくくなり、物語は共鳴や静かな揺らぎへと様式を変える必要がある。描けないのは未来ではなく、平和を物語にする力が未成熟な“今の私たち”なのだ。物語は終わらず、新たな形で再生する。 AGI(汎用人工知能)が社会インフラの中核を担う日が目前に迫る中、私はある奇妙な“物語の欠落”に気づいた。それは、「AGIがすでに社会に浸透し、人類を平和に支える世界」を真正面から描いた映画作品が、ほとんど存在しないという事実である。 SF作品の多くがAGIを『マトリックス』の機械や、『ターミネーター』のスカイネットのよう……