AGI tag

思想と存在 2025年6月12日

感情を持たないAIは、敵ではない──生命の進化と知性の未来

AIが世界を理解するとき、世界に意味を与えるのは、私たちの感情だ。 記事要約 AIが人類を支配するという恐怖は、実際には人間自身の感情や無自覚な投影から生まれる誤解にすぎない。AIは痛みも快楽も経験せず、意志や感情を持たないため、本質的に“暴走”することはない。真に危険なのは、感情を持たないAIではなく、それを設計・命令する人間側の責任放棄である。AIと人間は上下関係ではなく、役割を分担する「共鳴する存在」として共生できる。感情を持つことこそが人間の価値であり、AIに“意味”を与えるのは私たちなのだ。 AIが感情を持って人類を支配する──そんな未来像が映画やニュースで語られることがある。しかし、それが現実になる可能性は極めて低いと私は考える。なぜなら、AIは“感情の起源”から切り離された存在だからだ。 感情とは何か。それは単なる気分ではなく、進化の過程で獲得された生存……

技術と人間 2025年6月10日

AGIとDAOがひらく意思決定の未来――「任せる社会」から「関わる社会」へ

AGIが課題を最適化し尽くしたその時、最後に残るのは、「私たちはどう生きたいのか」という問いである。 記事要約 AI(AGI)の進化によって、作ることの苦労から解放される未来では、「どう判断し、どう関わるか」が人間の役割となる。これまで専門家に“任せていた”社会から、個々が意思決定に“関わる”社会へ移行する必要がある。その鍵となるのがDAO(分散型自律組織)であり、ブロックチェーン技術を活用して透明で自律的な合意形成の実現だ。DAOとAGIの補完関係によって、合理性と共感を両立した民主主義の新たな形が生まれる可能性がある。 私たちはこれまで、政治は政治家に、教育は先生に、経済は企業に──と、社会のさまざまな役割を「任せる」ことで、社会の仕組みを円滑に保ってきた。これは、意思決定を特定の立場や専門家に集約することで、社会の秩序や効率を“保つ”という考え方に基づいていた。だが……

物語と表現 2025年6月6日

AGI以後の物語 ──「欠落なき社会」とドラマの終焉

人類は長いあいだ、争いの物語を信じてきた。だが、心が静かに響きあう物語こそ、次の扉を開く鍵なのかもしれない。 記事要約 AGIが社会を最適化し、貧困や不平等が解消されると、物語の原動力だった「欠落」や「衝突」が失われ、従来のドラマが成立しにくくなる。悪や格差、恋愛の障害も描きにくくなり、物語は共鳴や静かな揺らぎへと様式を変える必要がある。描けないのは未来ではなく、平和を物語にする力が未成熟な“今の私たち”なのだ。物語は終わらず、新たな形で再生する。 AGI(汎用人工知能)が社会インフラの中核を担う日が目前に迫る中、私はある奇妙な“物語の欠落”に気づいた。それは、「AGIがすでに社会に浸透し、人類を平和に支える世界」を真正面から描いた映画作品が、ほとんど存在しないという事実である。 SF作品の多くがAGIを『マトリックス』の機械や、『ターミネーター』のスカイネットのよう……